第21章 なぜ認めない?

田口七海は、水野聡美の「絶対に手に入れてやる」と言わんばかりの顔を思い出し、さらに晴琉兄にまで手を伸ばそうとしていると考えた途端、胸の奥がむかむかと詰まった。

(何様のつもり……。私の晴琉兄に色目を使うなんて。舐められたものね!)

七海の頭にあるのは、ただひとつ――水野聡美を徹底的に叩きのめして、晴琉兄は自分のものだと分からせること。

彼女は怒りのままに足を速め、水野聡美のオフィスまで一直線。ノックすらしない。

「バンッ!」

勢いよく蹴り開けた扉が壁に当たり、乾いた音が廊下まで響いた。

「水野聡美! 晴琉兄から離れろ! 晴琉兄は私の婚約者よ! あんたみたいなクズが手を出していい人...

ログインして続きを読む