第24章 こんなに金を持って何をする?

田口七海が田口家へ戻ると、家の中の変わりように胸の奥がざらついた。

玄関には江川莉奈専用のスリッパが揃えられ、壁に掛かっている家族写真は三人だけで撮り直されたもの。そこに、かつて自分が写っていた一枚は――跡形もない。

自分が小さい頃から育った家。十数年も「お父さん」「お母さん」と呼んできた人たち。

なのに今は、何もかもが江川莉奈のものになっている。

悔しさが一気に込み上げ、鼻の奥がつんとした。涙がこぼれそうになる。

――いい。

逆命丹さえ手に入れて、梅原晴琉に嫁げばいい。誰もが羨む梅原家の若奥様になったそのときには、田口家どころか京清市全体が自分の顔色をうかがう。田口家が自分を認...

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