第26章 押しかけて婚約破棄

田口七海の責任転嫁は、梅原晴琉の常識を根底から塗り替えた。

人間がここまで厚かましくなれるものなのか。欲に目がくらんで騙されたのは自分のくせに、江川莉奈に噛みついてくるなんて――理屈もへったくれもない。

梅原晴琉の周囲の空気が、一瞬で氷点下まで落ちた。

「お前、狂犬病か? 人を見るたび噛みつきやがって。もう一言でも江川莉奈を汚したら……舌、引き抜くぞ」

田口七海は、その迫力に全身を震わせた。それでも諦めきれないのか、涙声で食い下がる。

「晴琉兄、どうして信じてくれないの……? 江川莉奈は、私よりどこがいいの? どうしてあなたの目にはあの子しか映らないの……私があなたのためにしてきた...

ログインして続きを読む