第28章 感情を育て育てる

梅原晴琉はその場に立ち尽くしたまま、顔に浮かんだ衝撃がなかなか引かなかった。

これまで江川莉奈について抱えていた疑問が、いま一つ残らず繋がる。江川家で冷遇されているのに羽振りが良く、揺るぎない余裕を崩さなかった理由。医術がずば抜けていて、品のある空気を纏っていた理由。――まさか、田口家がようやく探し当てた本物のお嬢様だったなんて。

気づけば、今日ここへ来た目的すら忘れていた。瞳の奥にあった冷たさは跡形もなく溶け、抑えきれない喜びだけが滲んでいる。

梅原晴琉はゆっくり口元を上げ、これまでにない柔らかな声で言った。

「田口莉奈さん、はじめまして。僕はあなたの婚約者、梅原晴琉です。これから...

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