第32章 心の中はすでに焦りで狂いそうだ

「おじいちゃん!」

梅原晴琉の悲鳴が、ぱっと室内に響いた。

「大旦那様!」

中島執事は顔面蒼白になり、今にも崩れ落ちそうな梅原爺さんの身体を慌てて支える。背後の使用人たちも一斉に駆け寄り、あっという間に場は混乱した。

そのときだった。

江川莉奈が人垣をかき分け、バッグから黒い丸薬を取り出すと、梅原爺さんの口をそっと開かせて飲ませた。

「皆さん、落ち着いてください。梅原爺さんは感情が昂っただけです。薬を飲んで少し休めば大丈夫です」

数分もしないうちに、梅原爺さんはゆっくりと瞼を上げた。

まだ視線は定まらない。けれど次の瞬間、その目が真っ直ぐ江川莉奈を捉える。

「お、お前……田...

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