第41章 婚約者に携帯電話を贈る

夕食のあと、田口七海はすぐに田口宏明のもとへ行かず、部屋の隅をふらふらと歩き回っていた。どこか上の空で、落ち着かない様子だ。

江川莉奈が階段を上っていくのを確認した途端、七海はすたすたと宏明のそばへ戻り、甘えるようにぴたりと寄り添って腰を下ろす。そっと頭を彼の肩に預けた。

「パパ~」

語尾を伸ばして、猫なで声。

「姉ちゃん、すごいよね。会社のこと、きっちり回して、みんなに褒められて……それって、私がすっごく役立たずに見えるってことじゃない? 私、何もできないし、パパの力にもなれないし、いつも心配かけてばっかり……」

田口宏明は今の七海に、可愛いと思う気持ちと、面倒くさいと思う気持ち...

ログインして続きを読む