第44章 金持ちのお爺さんに取り入った

車の窓が半分ほど開いていて、梅原晴琉と江川莉奈のやり取りが、一言残らず田口七海の耳に流れ込んだ。

「え、姉ちゃん……本気で怒ってるの? 晴琉兄は、ただ親切で私を支えてくれただけだよ? そんな小さいことで機嫌悪くしないでよ。外に広まったら、姉ちゃんが私みたいな妹を受け入れられないって思われちゃうよ~」

そう言いながら、七海は横目で運転席脇の梅原晴琉を盗み見る。

だが言い終わるより早く、梅原晴琉は隠しもしない嫌悪を向け、氷みたいな声で吐き捨てた。

「黙れ」

続けて彼は身に着けていた仕立てのいいスーツのジャケットを脱ぐと、迷いなく窓の外へ放り投げた。

「そいつに触られた服なんて縁起が悪...

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