第50章 私は怖い顔をしている?

梅原晴琉は田原匠真にちらりと視線を送った。言葉は要らない。田原匠真は即座に察し、手を上げると――江川百合子の頬を、乾いた音が鳴るほど思い切り張り飛ばした。

「――あっ! このクズ……あんた、私を殴ったの!?」

江川百合子は勢いよく振り向き、田原匠真の顔を引っかこうと手を伸ばす。

だが手首が持ち上がった瞬間、田原匠真にがっしり掴まれた。

骨が砕けそうな力。痛みに全身が震え、さっきまでの勢いは跡形もなく消えた。

「殴ったら何だ?」

梅原晴琉が一歩、前へ出る。空気が一気に重く沈んだ。

「莉奈を侮辱する言葉をもう一回でも口にしたら――舌、抜くぞ」

江川百合子の身体がびくりと固まる。反...

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