第56章 田口七海の秘密

清々しい朝。田口家のリビングでは、テーブルいっぱいに手の込んだ朝食が並んでいた。

江川莉奈は落ち着いた所作で口を運びながら、視線の端で向かいの田口七海をちらりと追う。

七海はスマホを両手で抱え、指先を忙しなく走らせたあと、莉奈をまっすぐ見据えた。瞳の奥で、得意げな光と浮き立つ興奮が隠しきれていない。

ピロン。

家族グループの通知音。七海がグループに暗号化ファイルを投下したのだ。

七海は父母のほうへ身を乗り出し、待ちきれないといった調子で言った。

「パパ、ママ。さっきグループに送ったの、早く開いて見て。すっごく面白いから」

「なによ、もったいぶって」

相川綾子は軽く流し、スマホ...

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