第63章 彼の腕を折る

江川莉奈は冷え切った顔のままエレベーターへ飛び込み、上がっていく表示を睨みつけた。13階で止まるや否や、扉が開ききる前に飛び出す。

1308号室の前では、木島陸が熱した鉄板の上みたいに落ち着きなく右往左往し、額には細かな冷や汗が浮いていた。

君豪ホテルはもともと木島家の持ち物だ。陸は最近、家の爺さんに「現場を知れ」と叩き込まれて下っ端の仕事を回されている。そんな矢先、梅原晴琉から電話一本――加藤滉隆をどうにか足止めしろ、と。

……無茶を言う。

加藤滉隆は手のつけようがない放蕩息子で、頭のネジが外れたら周りなんて見えない。陸だって本気で敵に回せる相手じゃない。必死に世間話で引き延ばし、...

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