第69章 江川莉奈は外国人の老人と一緒にいる

万衆の注目を集める国際ピアノコンクールが、まもなく京清市で幕を開ける。海外にいた世界的なピアノ界の巨匠フェンディも、この大会の審査委員長を務めるため、わざわざ帰国した。

飛行機が京清市国際空港に着陸する。

フェンディが機内を降りてまずしたのは、主催側が用意したホテルへ向かうことではない。江川莉奈へ電話を入れることだった。

待ち合わせの店を決め、江川莉奈は時間ぴったりに姿を現す。

遠くから彼女を見つけた瞬間、フェンディの顔に朗らかで屈託のない笑みが咲いた。大股で近づき、両腕を広げて熱い欧米式のハグをする。

「莉奈、久しぶりだな。最近は元気にしていたか?」

「ええ、とても」

江川莉...

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