第74章 江川莉奈とフェンディは恋人関係

会場中の視線が、一斉に梅原晴琉へ集まった。近藤希美に下される「最終判断」を、誰もが固唾をのんで待っている。

梅原晴琉は田口七海の手からマイクを奪い取り、冷えた低音をスピーカー越しに会場へ響かせる。

「大会の規則は厳格だ。遅刻は違反。よって、近藤希美の――」

言い終える前に、田原匠真が一歩進み、腰を折ってスマホを差し出した。

「梅原さん、若奥様からお電話です」

言葉を遮られた不快感が、梅原晴琉の眉間にわずかに滲む。だが「江川莉奈」の名を聞いた瞬間、表情は雲が晴れるように一変した。

通話がつながるやいなや、顔に張りついていた氷は音もなく溶ける。殺伐とした冷酷さは影をひそめ、代わりに柔...

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