第81章 婚約しよう

電話を切った瞬間、田口七海の瞳の奥で、憎悪がどろりと煮え立った。平然と立つ江川莉奈を睨みつけ、歯を食いしばって低く吠える。

「……あんた、何したの?!」

江川莉奈は涼しい顔のまま、スマホを軽く揺らした。

「別に何も。ただ……あなたと雑談してる最中に、うっかりお父さんに発信しちゃってね。運が悪いことに、さっきの台詞、全部お父さんに聞かれてたみたい」

田口七海の顔から血の気がすうっと引く。その様子を見て、莉奈の笑みはむしろ深くなった。

「急いで帰って、ちゃんと説明したら? お父さんが怒って田口家から追い出したら、私の毎日が退屈になっちゃう」

「江川莉奈……覚えてなさい!」

吐き捨て...

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