第6章
携帯番号を変え、SNSのアカウントを削除し、これで湊との繋がりはすべて断ち切れたと思っていた。だが、私は椎名グループのコネクションを甘く見ていた。椎名湊にとって、彼がその気になれば、見つけられない人間などいないのだ。
見慣れた、しかし今は忌まわしいその番号を見て、私は覚悟を決めて通話ボタンを押した。
「結衣」
受話器の向こうから、椎名湊の押し殺したような声が聞こえた。背景には風の音が混じっている。
「もし拗ねているなら、いい加減にしろ。いつ東京に戻る? 迎えに行く」
遠くの港で花火が上がっては落ち、漆黒の海に飲み込まれていく。
私はスマホを握りしめ、寒風に向かって言った...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
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9. 第9章
10. 第10章
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