第7章
朝食の空気は窒息しそうだった。箸を置くや否や、私は問答無用で椎名湊を二階の部屋に引きずり込んだ。
「説明して」私は冷ややかに彼を見下ろした。「予定じゃ、今頃軽井沢で宮下果歩と正月を楽しんでるはずじゃないの?」
椎名湊は壁に寄りかかり、ふてくされたように言った。「気分じゃないからキャンセルした」
続けて、彼は信じられないという怒りを込めて問い返してきた。
「それより結衣、黙ってこんな田舎に逃げ帰るなんてどういうつもりだ?」
「東京で生きていけなくなったのか? 家賃が払えない? それともブランド物が欲しいのか?」
「金の問題なら、港区の高級マンションでも生活費でも、俺と一緒に戻...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
縮小
拡大
