第9章

東京へ戻る新幹線の中で、私は苦笑せずにはいられなかった。

あんなに戻らないと誓ったのに、友人の結婚式のために戻らざるを得なくなるなんて。

高嶺晴人はどうしても一緒に来ると言ったが、あのキスのせいで心が乱れていた私はそれを断った。

彼は駅で私をじっと見つめ、脅すように言った。

「結衣、戻ってこなかったら、東京まで探しに行くからな」

私は適当に頷くしかなかった。

「はいはい、戻る戻る、明日には戻るってば!」

ご祝儀を受付に渡し、披露宴会場の席に着くと、椎名湊が当然のように私の隣の椅子を引いて座った。

宮下果歩は私を見て眉をひそめたが、すぐに笑顔を作って言った。

「...

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