第195章 感情はなく、憎しみだけ

「かしこまりました、奥様」

松本由美は再び村上竜也の方を向いた。「大人しくしていれば、一生遊んで暮らせる金持ちでいられるのよ」

村上竜也は生まれた家を選んで正解だった。衣食に困ることなく。

彼が自ら墓穴を掘らなければ、この先も世の中の九十九パーセントの人間より楽に生きていける。

ボディガードが素早く前に出て、斎藤智子と村上竜也を引きずり出した。

「離せ!僕は村上家の次男だぞ!」

「自分で歩ける!お前らに手を出す権利なんてないだろ!」

村上竜也がどれだけ叫んでも、ボディガードは容赦なく彼を引きずっていく。

松本由美は眉を寄せたまま、その場に立ち尽くしていた。

彼女はますます確...

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