第4章

ディナーの準備に二時間もかけた。ただの仕事の打ち合わせのはずなのに、丸々二時間も。

ええ。ビジネスね。

三着も試着して、結局ネイビーブルーのドレスに決めた。頑張りすぎ感を出すことなく、体のラインを綺麗に見せてくれる一着。可愛くて、でもプロフェッショナル。色気はあるけど、あからさますぎない。デートかもしれないし、仕事のディナーかもしれない、そんな曖昧な約束には完璧だった。

涼が選んでくれたレストランは、本通りにある『旬彩』というお店だった。ストリングライトが飾られた、素朴で魅力的なファーム・トゥ・テーブルの店。どう考えても、仕事の打ち合わせ場所というよりはデートスポットだ。

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