第6章

あの夜は、ほとんど眠れなかった。目を閉じれば、あの家からよろよろと出てくる彩乃の姿が浮かんでくる。まるで地獄から生還したかのような、そんな様子だった。朝になる頃には、頭の中はぐちゃぐちゃだった。

私が見てしまったことを、どうすればいいんだろう?

一日中、アパートの部屋をうろうろと歩き回り、五分おきにスマホをチェックした。涼にメッセージを送って大丈夫かと聞きたい気持ちと、その答えを知るのが怖いという気持ちがせめぎ合っていた。

昼頃、ストーリー用の動画を撮ろうとしてみたけれど、もうめちゃくちゃだった。言葉に何度もつまずくし、どのエクササイズを実演するはずだったかも忘れてしまう。三度...

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