第7章
考えるより先に体が動いていた。玄関のドアを押し開け、中に駆け込む。
「ごめんください! どなたか、ご無事ですか!?」震える声で呼びかけた。
階上から再び悲鳴が響き、続いて重々しい物音と、家具が投げつけられるような音がした。心臓が激しく脈打ち、階段を駆け上がる自分の足音さえ、ろくに聞こえなかった。
「真優!」
振り返ると、涼が血相を変えてドアから飛び込んできた。「何やってんだよ? 走っていくのが見えたから……」
階上からの新たな衝突音が、彼の言葉を遮った。二人して天井を見上げる。
「誰かが危ない」私はそう言って、すでに階段へ向かっていた。「助けなきゃ」
踊り場に着いたと...
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