第55章 言ってみれば、かなり快適

高橋宴清は事務所に座り、長い脚を机の上に投げ出して、リズミカルに揺らしていた。「傲慢な水原弁護士らしからぬ発言だな」

交渉を幾年も重ねてきた水原明美は彼を恐れなかった。高橋宴清は確かに不真面目だが、理不尽に若い女性の将来を台無しにするほどではない。「それも高橋若様らしからぬ行動です。遊び人で浮気性なのは構いませんが、感情を発散するために法的手段に訴えるのは、割に合わないでしょう」

「金で買えない俺の気分だ。俺が価値があると言えば、それでいい」

水原明美はブラインドを下ろし、好奇の視線を遮断した。「高橋若様は何がご希望なのでしょうか?」

高橋宴清は無関心そうに言った。「そんなに焦って、...

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