第57章 私に一曲踊ってください

高橋宴清は彼女をクラブの中で好き勝手にされる女の子のように扱い、あからさまに侮辱していた。

彼は演技の上手い水原明美の仮面を剥がし、その本性を見たかったのだ。

本質的に彼女もここの女たちと変わらない。女というものは、ふん、骨の髄まで卑しいものだ。

水原明美はまだそこに真っ直ぐ立っていた。照明が彼女の白い顔に当たり、澄んだ瞳は冷たく輝いていた。彼女は笑うと優しく可愛らしいが、真剣な表情になると冷たく凛々しい。

空気は火薬の匂いに満ち、静寂が支配していた。

「嫌なのか?」

高橋宴清は片足を上げ、テーブルに乗せた。「嫌でもいいさ。俺は気が利く方だから、無理強いはしない」

彼の目には明...

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