第112章

オリヴィア視点

「正気? やっとの思いで築いた会社を、ほいほい人に渡せるわけないでしょ」

イーサンの声が跳ね上がり、胸がひゅっと縮む。

想定どおりの反応。私は肩をすくめ、手のひらを上に向けた。

「じゃあ、株価がじわじわ落ちていくのを眺めてればいい。最後は二束三文で買い叩かれるだけよ」

イーサンの顔色は、泣き顔よりひどい。引きつった口元で、無理に笑おうとする。

「……それ以外に、手はないのか?」

「ないわ」

今だって、買いたがる相手がいるかどうか怪しい。少しばかり評判と人脈が残っているから、私が“使える”と思っただけ。まともに値がつくとは限らない。

それでも、今の私にはダミア...

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