第121章

ダミアン視点

オリヴィアの反応は、少しだけ予想外だった。

俺は彼女の腰に手を回し、これまで自分でも驚くほどの忍耐で宥める。口から出た言葉には、熱がない。

「俺に渡せるのは、それだけだろ」

オリヴィアの顔色が、瞬時に変わった。俺の我慢にも限度がある。腹の子のことがなければ、こいつの後始末にここまで手を貸す理由などない。

分別があるなら、目を吊り上げて噛みついてくるべきじゃない。

オリヴィアは賢い。言外の意味を汲み取ったのだろう。張りつめていた身体が、少しずつほどけていく。

俺は彼女の整った横顔を見つめたまま、向こうから寄ってくるのを待った。

十数分。

彼女は彫像みたいに突っ立...

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