第159章

オリヴィア視点

ヤコブは余裕たっぷりに椅子の背へもたれ、私を眺めながら首を振った。次の瞬間、ふっと笑いが漏れる。

「口が達者だな。そりゃ弟が気に入るわけだ」

その言い方が、どうしようもなく癪だった。でも、反論できる材料もない。

――今いちばん大事なのは、ここから出る方法を見つけること。

この男が、このあと何をするつもりなのか分からない。

それでもヤコブがここで私と交渉するということは、ダミアンに見つかる危険を恐れていない、ということだ。

もしかすると――ダミアンですら、この場所を知らない。

ここは、密室に近い。私ひとりで逃げるのはまず無理。

残る望みは、目の前の男が気まぐれ...

ログインして続きを読む