第161章

オリヴィア視点

「……ダミアン」

思わず名前が漏れた瞬間、ダミアンが素早く私の肩をつかみ、そのまま抱き寄せた。

相手はバイクに跨ったまま、風を切って逃げ去っていく。取り残されたのは私とダミアン、それに呆然と立ち尽くす護衛たちだけだった。

護衛が駆けつけるのが少しでも遅ければ、私は地面で三回は転がっていたはずだ。

私はつい、冗談めかしてダミアンを見上げる。

「ねえ、護衛を付けるくらいなら、あなたが来たほうが早いんじゃない? ほら、あの人たち……」

そこまで言って、言葉が詰まった。私は昔から、人を責めるのが得意じゃない。イーサンと一緒にいた頃だって、使用人にあれこれ命じることは滅多...

ログインして続きを読む