第29章

イーサン視点

「待て」

オリヴィアの背中を見た瞬間、胸の奥に、針のような焦りが刺さった。

愛しているわけじゃない。そこは分かっている。

なのに――彼女が本当に遠ざかろうとすると、全身がむず痒くて落ち着かない。

出ていく? あり得ない。

オリヴィアは俺のそばにいるべきだ。俺がソフィアを愛していようが、いずれソフィアと一緒になるつもりだろうが、そんなの関係ない。オリヴィアが別のことを考える余地なんて、最初からない。

嫁いだ以上、一生、俺の女だ。誰にも奪わせない。

たとえいつか俺が捨てる日が来ても、それは俺が捨てたあとに拾えばいい。

俺がまだ手放す気もないのに、他の男が連れていく...

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