第53章

ダミアン視点

「そりゃよかった」

俺はオリヴィアの頬に手を添えて顔をこちらへ向け、まっすぐ見つめ返す。瞳の奥に光を沈めたまま、甘い声だけを作った。

「君が戻らないなら、それでいい。今から俺と家に帰ればいい」

オリヴィアの口元が、ほんのわずかに弧を描く。――こいつ、内心では喜んでる。

誰より屋敷に戻りたくないくせに、もっともらしい口実がない。それを、ずっと探していた。

本気で連れて行くと分かった途端、イーサンの顔が引きつった。

両腕を広げてオリヴィアの前に立ち塞がり、俺を睨みつける。

「こいつは俺の女だ。欲しいなら、せめて俺が離婚してからにしろ」

ニヤついたまま拳を握り、上体...

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