第54章

ダミアン視点

――ああ、やっぱりだ。こいつ、わざとやってる。

俺は息を吸い込み、オリヴィアの後ろ姿を見ながらくく、と喉を鳴らした。

「歯が立つな」

オリヴィアの肩がぴくりと震え、耳の先がふわりと桜色に染まる。

母親になるってのに、まだこんなふうに照れるのか。

「くだらないこと言うなら、今すぐ降りる」

刺々しい返事。

「は。まさか、走ってる車から飛び降りる気か?」

俺は彼女のほうへ身を寄せ、片手を肩に置いた。

「キスしただけだろ。命懸けで潔白でも証明すんのか?」

オリヴィアが勢いよく振り向く。ポニーテールが俺の頬をしなるように打ち、熱い赤みが走った。

俺は頬を撫で、笑う...

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