第68章

イーサン視点

オリヴィアは迷いなく背を向けて去っていった。まるで俺の存在など、最初から視界に入っていないみたいに。

子どもひとつ産めないくせに、何を偉そうに吠える。

腕の中のソフィアが、おずおずと顔を上げて、そっと俺の頬に触れた。やわらかな声で、根気よく宥める。

「イーサン、怒らないで。お姉さんが行きたいなら行かせればいいの。あなたには、私がいるもの」

ソフィアは従順な子猫みたいに、俺の胸に頬を寄せる。

背中を撫でてやると、胸の奥で暴れていた苛立ちが、少しずつ静まっていった。

俺は彼女の肩を強く抱きしめる。

「……お前がいてくれてよかった」

ソフィアを連れて執務室へ戻ると、...

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