第72章

イーサン視点

いつ電話が切れたのか、分からない。意識のすべてが、ダミアンの――俺を見下ろすような視線に吸い寄せられていた。

濃密で、熱を孕んでいて、どこか血の匂いがする。獲物を見つけた狩人が、息の根を止めるまで弄ぶことを思いついた瞬間の、あの昂ぶり。

――こいつ、俺を殺す気だ。間違いなく。

護衛の腕を振りほどき、壁に背を貼りつける。武器はない。ダミアンが本気で手を出してきたら、俺には身を守る術すらなかった。

ダミアンは余裕たっぷりに俺を眺め、獰猛に口角を上げた。

「そんなに怯えるな。食ったりしねえよ」

細められた目。身体の輪郭は闇に溶け、まるで地獄から這い出してきた亡霊だ。

...

ログインして続きを読む