第80章

イーサン視点

「ソフィア!」

去っていく背中に叫ぶと、彼女の足取りがふっと止まった。けれど、振り返りはしない。

分かっている。彼女は俺を責めている。きっと今ごろ、涙でぐしゃぐしゃになっているはずだ。俺に、みっともない姿を見せたくないだけで。

俺は薬を懐にしまい、ソフィアの消えた方向へ小さく呟いた。

「安心しろ。絶対に成功させる。親父にお前を認めさせて……必ず、迎えに行く」

熱のこもった視線のまま、胸の奥が苦く軋む。

時計を見る。ちょうど料理が運ばれる時間だ。外に出すぎた。親父が人を寄こす前に戻らないと、ここでのことが露見する。

踵を返した、その瞬間――視界の端にオリヴィアが入...

ログインして続きを読む