第10章 閉所恐怖症

「……何を芝居てる」

黒崎逸臣は反手で彼女の手首を押さえ込み、逃げ場もなくベッドに縫いつけた。もう片方の手で顎を掴む。砕けそうなほど強い力。

「まだ離婚もしてねぇのに、もう他人のために貞操なんか守るつもりか」

夏目霧子は唇を噛む。正面からぶつかっても勝てない。

――今、この子がもたない。

黙ったままの彼女に、黒崎逸臣の苛立ちはさらに煽られた。顎を放し、勢いよく身を屈めると、鎖骨に牙を立てる。罰するみたいに、ぐっと。

「喋れ!」

夏目霧子の身体がびくりと跳ねた。

「……してない」

「してねぇなら義務を果たせ。忘れるな、今はまだ夫婦だ」

黒崎逸臣の動きは荒く、慈しみの欠片もな...

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