第100章 彼女の服を奪う

会議室の扉が閉まると、黒崎逸臣はテーブル脇に数秒立ち尽くし、スマホを取り出して専属秘書へ電話を入れた。

「オートクチュールのほうに連絡して。レディースのドレスを一着」

受話口の向こうが一拍置く。「……どんな場ですか」

「発表会」

黒崎逸臣は手の中のサンプルケースを弄びながら、今日の昼飯でも決めるみたいな軽さで言った。

「色は派手すぎるのはなし。デザインは上品で、ちゃんと場を締められるやつ」

「サイズは?」

黒崎逸臣は数字をいくつか、淀みなく告げる。

林田秘書が息を止めた。

そのサイズは、覚えがある。以前、夏目霧子の作業着を手配したときに控えたものだ。

「黒崎社長……夏目さ...

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