第103章 打ち上げ

夏目霧子は彼を見つめ、数秒だけ黙った。

「……私ひとりで大丈夫」

黒崎逸臣が鼻で笑う。

「大丈夫? スカートが真っ二つに裂けてて、何が大丈夫なんだよ」

口ではそう言いながらも、胸の奥に一日中詰まっていた重たいものは、確かにいくらかほどけていた。

少なくとも、怪我はしていない。

少なくとも、咄嗟の判断ができた。数十社のメディアの前で取り返しのつかないことにはならなかった。

黒崎逸臣は一度息を整え、話題を切り替える。

「夜、打ち上げがある。何着る?」

夏目霧子が目を瞬く。

「打ち上げ?」

「スマホ見てないのか?」

黒崎逸臣はデスクのタブレットをひったくるように取ると、指先...

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