第106章 彼女はパクリデザイナー

メーンテーブルは見晴らしがいい。良すぎて、黒崎逸臣がふと目を上げただけで、見たくもない光景が目に飛び込んできた。

夏目霧子が、男と並んで回廊のほうへ歩いている。

――知らない男だ。

きっちり仕立てたスーツ。背も低くない。霧子の隣に自然に収まり、近すぎず遠すぎずの距離を保っている。

黒崎逸臣のグラスが、唇の手前で止まった。

隣の副社長が何か数字を報告している。だがもう、耳に入ってこない。

彼はグラスをテーブルに置き、立ち上がった。

「黒崎社長?」

「先に話しててくれ」

円卓を回り込み、歩幅は大きくない。けれど一歩ごとに、不機嫌がにじむ。

――あの女、あの男と二人きりでどこへ...

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