第11章 奥様が掛けているのは産婦人科

VIP病室の中は、深夜をとうに回っていた。

夏目霧子が目を覚ましたのは、その後半夜のことだった。

まぶたを開けた彼女は、しばらくのあいだ茫然と天井を見つめる。

「目が覚めたか」

ベッド脇に座っていた黒崎逸臣が声をかける。目の下は赤く充血し、顎には青い無精髭が浮いていた。ひどくやつれ、見る影もない。

霧子が身じろぎしようとすると、彼は慌てて肩を押さえた。

「動くな。先生が言っていた。ひどく怯えたうえに、少し低血糖も起こしている。しばらくは安静にしろ」

夏目霧子は彼を見なかった。ただ、そっと手を下腹へ当てる。

――よかった。

お腹の中の子と、自分がまだ確かにつながっている。あの...

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