第111章 もうすぐ黒崎家の人間じゃなくなる

午後2時すぎ、病室のドアが押し開けられた。

黒崎雅美がヒールの音を響かせて入ってくる。後ろには瀬戸海介がついていた。

海介は濃いグレーのカジュアルスーツ姿で、雅美の背中越しに病室へ入るなり、まずベッドの黒崎昌仁へ視線を走らせ、それからベッド脇で付き添っている女へ目を移した。

夏目霧子はタオルを絞り、黒崎昌仁の額をそっと拭いていた。気配に顔を上げると、すぐに視線を落とし、何事もなかったように手を動かし続ける。

入った瞬間、黒崎雅美の眉がきつく寄った。

「あなた、何しに来たの?」

声がやけに高い。ここが病室だという配慮は欠片もない。

「もうすぐ黒崎家の人間じゃなくなるくせに、ここで...

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