第112章 一晩付き添った

夏目霧子は一瞬きょとんとし、それからふっと笑った。

「おじい様、何をおっしゃってるんですか。一晩おそばにいただけですし、疲れてなんかいませんよ」

黒崎昌仁が言ったのは、彼女がここで徹夜で付き添っていたことだと、霧子はそう受け取った。

身をかがめて水を注ぎ、コップを黒崎昌仁の口元へ差し出す。

「まずはお水を。喉を潤してから。先生を呼んで、診てもらいますね」

黒崎昌仁は彼女をじっと見つめたまま、しばらく言葉を探すように唇を震わせた。

結局、言うべき言葉は飲み込む。

コップを受け取り、ひと口だけ飲むと、顔を窓のほうへ背けた。

「呼ぶな。わしは平気だ」

それでも夏目霧子はナースステ...

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