第123章 何日も泣いた

夏目霧子が家に戻った頃には、空はもう薄闇に沈みかけていた。

玄関の台に鍵を放り投げ、靴も脱がないままリビングへ。ソファの端に腰を落とした瞬間、スマホが鳴った。

画面に出た名前は、菅田由実。

通話を取ると、向こうから勢いのある声が飛んでくる。

「霧子! 何してんの? 今日さ、私早く上がれたんだよね。どう? 飯行かない?」

「……ごめん。ちょっと疲れてて」

電話の向こうが、ふっと間を置いた。

「……声、どうしたの」

「風邪。大丈夫」

「風邪でその声はないでしょ。泣いたみたいじゃん。夏目霧子、誤魔化さないで。何かあった?」

霧子は口を開いた。けれど、言葉が喉で引っかかって出てこ...

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