第127章 もう待てない

水野菜々美はリビングの真ん中に立っていた。

ゆったりした部屋着ワンピースに、髪は下ろしたまま。手には湯気の立つホットミルク。夏目霧子の姿を認めた瞬間、顔色がさっと変わった。

二人は、そのまま向かい合う。

空気が一気に冷えた。

先に口を開いたのは菜々美だった。声が甲高く尖る。

「……あんた、何しに来たの?」

霧子は足を止め、彼女を見て、ようやく思い出す。

水野菜々美は、もうグランドレジデンスに移ってきている。

黒崎逸臣が、そうさせたのだ。

「私が何しに来たか、って?」

霧子の声は淡々としていた。感情の起伏が、どこにもない。

「黒崎逸臣との離婚は、まだ成立してない。グランド...

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