第149章 救命措置

鈍い轟音が、黒崎逸臣の耳を打った。

心臓がぎゅっと縮む。胸の奥が唐突に空っぽになって、骨と血に縫い込まれていた何かを、無理やり剥がされたみたいだった。

逸臣ははっと顔を上げ、音のした交差点を振り向く。

――夏目霧子が、ついさっき去っていった方角。

水野菜々美は彼の唐突な動きにぎょっとして、同じ方向へ視線を走らせると、どうでもよさそうに唇を尖らせた。

「逸臣、どうしたの?」

菜々美は彼の袖を掴む。声には焦りが滲んでいた。

「あっち、何かあったみたいでぐちゃぐちゃよ。放っておいて、早く戻ろ? 結婚許可の申請、しなきゃいけないでしょ」

黒崎逸臣は動かない。

街の突き当たりを、ただ...

ログインして続きを読む