第15章 祖父が怒って気絶する

夏目霧子がホテルに戻って間もなく、ベッドサイドのテーブルに置いたスマホが、ぶる、と二度震えた。

画面に浮かび上がったのは、黒崎昌仁からのメッセージ。

「霧子、今夜は帰ってくるか? じいさんが料理人に頼んで、お前の好きなスープを煮込ませた」

夏目霧子はその一行を、しばらく黙って見つめた。指先が画面の上で迷い、やがて短く返す。

「はい」

――ちょうどいい。

言うべきことを言う時が来た。黒崎昌仁には、もうこれ以上、騙したままではいられない。

切ると決めたなら、徹底的に。中途半端に情を残せば、余計に誰かを傷つける。

夏目霧子は身支度だけ整えると、タクシーで黒崎家の本邸へ向かった。

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