第16章 ベッドシーンをデザインする

救急車の耳を裂くようなサイレンが、黒崎家の本邸にまで響き渡った。

夏目霧子は祖父に付き添ってそのまま車に乗り込み、病院へ向かった。

到着してすぐ、祖父が手術室へ運ばれていくのを、ただ茫然と見送るしかなかった。

霧子は冷たい壁にもたれ、さっき黒崎昌仁の身体を支えた手のひらに残る温もりを見つめる。

指先が、勝手に小刻みに震えていた。

そのとき――廊下の奥から、せわしないハイヒールの音が駆け寄ってくる。

黒崎雅美が髪を振り乱して突進してきた。

知らせを聞きつけ、飛んできたのだろう。霧子の姿を見た瞬間、言葉もなく手を振り上げる。

ぱんっ。

乾いた音が、静まり返った廊下に長く反響した...

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