第168章 夏目霧子の遺灰

ホテルのスイートの寝室。

夏目有希はベッドボードにもたれ、膝の上にノートPCを乗せていた。

画面右下に、赤いドクロのアイコンが突然ポップアップする。狂ったように点滅。

ハッカーから暗号化メッセージが届いた。

「社長。黒崎グループのファイアウォールが反撃してきました。向こうのIT部門、伊達じゃない。こっちのIPを逆引きで追ってます。あと2分で特定される」

夏目有希はポケットから苺味の棒付きキャンディを取り出し、包み紙を剥いて口に放り込む。

小さな指がキーボードを叩きまくる。

「慌てないで」

頭の中が高速回転する。

この火は、別の誰かに被せて逸らすしかない。身代わり――スケープ...

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