第17章 どうしてお前が?!

黒崎逸臣は目を覚ました瞬間、頭蓋の奥を大槌で殴られたみたいな痛みに眉をひそめた。

反射的に寝返りを打つ。腕の中に、ぬくもりのある滑らかな肌が触れた。

――この感触は、嫌というほど知っている。

結婚して3年。数え切れない朝、夏目霧子はいつもこうして彼の胸に小さく収まっていた。たいていは、前夜に散々振り回されて疲れ切ったせいで。

口では言わなくても、頼られている実感が、どこか心地よかった。

こわばっていた眉間が少し緩む。黒崎逸臣は腕に力を入れ、相手を抱き寄せた。顎を髪のてっぺんに当て、すり、と擦りつける。

鼻先に絡みついたのは、濃く甘い香り。

――霧子の、あの冷たい匂いじゃない。

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