第170章 絵師のSummerさん

青山グランドホテル最上階。

黒崎逸臣は指の間の煙草を揉み消した。テーブルの上の洗い出しリストは、何度も捲られたせいで端がくたびれている。

そのとき、脇に置いていたスマホが、ぶるりと二度震えた。

画面に浮かんだのは、J市にいる友人加賀景祐からのメッセージ。

「G市に行ってるって聞いたけど?」

黒崎逸臣は端末を取り上げ、片手で二文字だけ打ち返す。

「うん」

即座に返信が来た。

「ちょうどいい! 頼みがある。うちの嫁が最近、あるイラストレーターにどハマりしててさ。Summerっていうんだけど、スタジオがG市の中環にあるらしい。お前、代わりに行って一枚頼んでくれない? 値段はいくらで...

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