第172章 転校

担任教師が呼び出した監視カメラの映像が、職員室の大型モニターに投影された。

画面の中は、教室の昼休み。

太った男の子が夏目有希の席へ駆け寄り、指先で有希の額をつんつん突きながら、口をぱくぱく動かしている。

映像には音がない。だが担任教師が、教室の録音を呼び出した。

『お前なんか、父親のいない雑種だ! ママが言ってた! 父親がいない子は、誰にも要らないんだって!』

太った男の子の声が、職員室に反響した。

画面の中で、周りの女の子たちがわっと集まってくる。口元を押さえて笑う子、面白がって囃し立てる子。

夏目有希は席に座ったまま動かない。小さな手で絵筆を握りしめ、指の関節が白くなるほ...

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