第176章 最初から夏目霧子がまだ生きていると知っていた

車のドアが閉まった瞬間、夏目霧子はシートに崩れ落ちた。

手が、まだ震えている。

後ろの車がぷっとクラクションを鳴らして、ようやく我に返った。

けれど落ち着いた途端、別の問題が頭をもたげる。

黒崎逸臣は、彼女が生きていると知った。

彼女がG市にいることも。

「Summer」と名乗っていることも、スタジオを持っていることも。

――なら、夏目有希のことまで辿り着くんじゃないか。

その考えが浮かんだ瞬間、背中に冷たい汗が噴き出した。

夏目有希。

霧子の娘。

そして――黒崎逸臣の娘でもある。

黒崎逸臣は、いまだにその子の存在を知らない。

もし知ったら?

黒崎家の力、黒崎逸臣...

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