第177章 修羅場

瀬戸海介は入口に立っていた。手にした白いバラには、まだ水滴がきらりと残っている。

その笑みが、少しずつ薄れていった。

黒崎逸臣はイーゼルの前に立ち、氷をまとったような顔でこちらを見ている。

数歩の距離を挟んで向かい合う二人。空気は死んだみたいに静まり返っていた。

先に口を開いたのは瀬戸海介だった。

「黒崎社長って、ずいぶんお暇なんですね。わざわざG市まで視察ですか?」

彼は中へ入り、白いバラの花束を無造作に夏目霧子の作業机へ置いた。

黒崎逸臣の視線が花束に刺さる。手の甲に血管が浮き上がった。

「……何しに来た」

声は低く、底冷えするほど。

瀬戸海介は眉を上げ、近くの椅子を...

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